2025年8月
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コバエの発生は心のSOS!ゴミ屋敷の深層心理
ゴミ屋敷に湧く無数のコバエ。その光景は不潔さの象徴ですが、もっと深い部分、その家の住人の心の状態を映し出しているのかもしれません。コバエが発生するということは、食べ物が腐るまで放置されているということに他なりません。それは、日々の生活を管理する気力や能力が、著しく低下していることの現れだと言えるでしょう。うつ病による無気力、加齢や認知症による判断力の低下、あるいは社会からの孤立による絶望感。様々な要因が絡み合い、ゴミを捨てるという基本的な生活行為すらできなくなってしまうのです。このような状況では、住人にとってコバEは「少し不快な同居人」程度の認識で、それを駆除しようというエネルギーすら残されていないことが多々あります。むしろ、物が積み重なり、生命が勝手に繁殖していく混沌とした空間が、外界の厳しい現実から自分を守ってくれるシェルターのように感じられている可能性すらあります。つまり、コバエの大量発生は、単なる衛生問題ではなく、「もう自分ではどうすることもできない」という、住人の心からのSOSサインなのです。このサインを前に、私たち周囲の人間がすべきことは、一方的に不潔さを非難することではありません。なぜそうなってしまったのかという背景に思いを馳せ、福祉や医療といった専門的な支援につなげる視点を持つこと。コバエを退治する前に、まず救うべきは、その発生源となってしまった人の心なのかもしれません。