「まさか自分がゴミ屋敷に住むことになるとは、夢にも思っていませんでした。」そう語るのは、都内在住の40代女性、Aさんです。Aさんが物を溜め込むようになったきっかけは、仕事での大きな失敗でした。責任を感じ、自信を失ったAさんは、次第に職場での人間関係も悪化し、孤立感を深めていきました。「家に帰っても、誰もいない。話を聞いてくれる人もいない。そんな時、物を買うことで、心の隙間を埋めようとしていたんだと思います。」Aさんは、当時を振り返ります。Aさんは、ストレスを発散するために、インターネット通販で様々な物を購入しました。服や雑貨、食品など、必要のないものでも、次々とポチってしまいました。「最初は、買った物をきちんと収納していたんです。でも、次第に面倒になり、床に積み重ねていくようになりました。」Aさんは、苦笑いしながら語ります。物が溢れかえった部屋は、ますますAさんの心を閉ざしていきました。片付けようと思っても、どこから手を付けていいのか分からず、途方に暮れてしまう日々が続きました。「ゴミに埋もれた部屋にいると、自分がゴミになったような気がしていました。」Aさんは、涙ながらに語ります。そんなAさんを救ったのは、友人からの言葉でした。Aさんの異変に気付いた友人は、Aさんにカウンセリングを受けることを勧めました。「最初は、抵抗がありました。でも、友人の熱心な説得に負け、思い切ってカウンセリングを受けてみることにしました。」Aさんは、当時を振り返ります。カウンセリングの中で、Aさんは、自分の溜め込み行動の背景にある心理的な問題に気付きました。Aさんは、孤独感や自己肯定感の低さを埋めるために、物を溜め込んでいたのです。カウンセラーのアドバイスを受け、Aさんは、少しずつ物を手放すことにしました。まずは、明らかに不要な物から処分し、徐々に思い出の品にも向き合うようにしました。カウンセリングを受けながら、Aさんは、地域の清掃ボランティアにも参加するようになりました。ゴミを片付けることで、自分の心も整理されていくような感覚があったと言います。数ヶ月後、Aさんは、見違えるほど綺麗になった部屋で、新しい生活をスタートさせました。Aさんは、現在もカウンセリングを受けながら、再発防止に取り組んでいます。