高校生の部屋がゴミ屋敷になる心理的な背景
子どもの部屋が散らかっているのはよくあること、と軽く考えてはいませんか。しかし、その散らかり方が尋常ではなく、ゴミが堆積して足の踏み場もない「ゴミ部屋」状態になっている場合、それは単なる「だらしなさ」や「反抗期」という言葉で片付けられない、心の悲鳴が隠れている可能性があります。高校生という時期は、受験や友人関係、将来への不安など、多大なストレスに晒される多感な年代です。過度なストレスは、物事への意欲を著しく低下させる「無気力状態」を引き起こすことがあります。部屋を片付けるという行為には、一つ一つの物を判断し、整理し、体を動かすという一連のエネルギーが必要ですが、心が疲弊していると、そのエネルギーが枯渇してしまうのです。また、発達障害の一つであるADHD(注意欠如・多動症)の特性として、片付けが極端に苦手な場合があります。物をどこに置いたか忘れてしまったり、作業を順序立てて行うことが難しかったりするため、本人が頑張ろうとしても部屋が散らかってしまうのです。さらに深刻なのは、セルフネグレクト(自己放任)の状態です。自分自身の心身の健康や安全に関心を払えなくなり、不衛生な環境に身を置くことを厭わなくなります。これは、うつ病などの精神疾患のサインであることも少なくありません。もし、お子さんの部屋がゴミ屋敷化していることに気づいたら、頭ごなしに叱るのではなく、まずはその背景に何があるのか、本人が何に苦しんでいるのかを理解しようと努めることが、解決への第一歩となります。