特殊清掃のプロが語るコバエとゴミ屋敷の現実
本日はゴミ屋敷などの特殊清掃を手がける専門家である鈴木さんにお話を伺います。現場でコバエの群れに遭遇することは日常茶飯事だそうですね。「ええ、コバエは私たちにとって、現場の汚染レベルを測るバロメーターのようなものです。その数と種類で、腐敗がどの程度進行しているか、大まかな見当がつきます」と鈴木さんは言います。プロから見て、コバエ問題で最も重要な点は何でしょうか。「一番は、発生源を根絶することであると言えるでしょう。お客様の中には、市販の燻煙剤を何度も焚いたけれど効果がなかった、と仰る方がいますが、それは当然です。ゴミの山という要塞に守られた発生源に、煙は届きません。私たちはまず、ゴミを分別しながら発生源となっている腐敗物、例えば液状化した生ゴミや汚物の塊を特定し、それを完全に取り除くことから始めます。この作業なくして、コバエの根絶はあり得ないのです」。作業には危険も伴うそうですね。「もちろんです。防護服、防護マスク、ゴーグルは必須です。細菌やウイルスを吸い込むリスクもありますし、何より精神的な負荷が大きい。コバエの群れが顔にぶつかってくる中で作業を続けるのは、慣れていても辛いものです。だからこそ、安易に個人で解決しなければと思うのではなく、私たちのような専門家を頼ってほしいのです。私たちの仕事は、ただ虫を殺すことではありません。人が再び安心して呼吸できる空間を取り戻すことなのです」。