ゴミ屋敷と聞くと、誰もがその惨状を想像し、なぜそのような状態になってしまうのか疑問に感じるか人もいるかもしれません。しかし、その根底には「お金がない」という切実な問題が潜んでいることが少なくありません。物が捨てられない、片付けられないという心理的な側面ももちろんありますが、経済的な困窮が片付けをさらに困難にしている現実があるのです。例えば、片付け業者に依頼する費用がない、大型ゴミの処分費用が捻出できない、新しい収納家具を買う余裕がないといった問題が積み重なり、悪循環に陥ってしまうケースは枚挙にいとまがありません。このような状況では、どこから手をつけて良いのか分からず、ただ時間だけが過ぎていくばかりです。貧困とゴミ屋敷の関係は、単に片付けの費用がないというだけに留まりません。経済的な不安定さは精神的なストレスを増大させ、物事を判断したり行動を起こしたりするエネルギーを奪います。また、安価なものを衝動的に購入してしまい、結果的に物が溢れる原因となることもあります。食料品を安売りで大量に購入し、消費しきれずに放置してしまう。無料でもらえるものを不用意に持ち帰り、それがゴミと化す。こうした行動は、節約やもったいないという気持ちから来るものですが、結果的に部屋を圧迫し、生活空間を蝕んでいくのです。貧困が引き起こす心身の疲弊は、片付けへの意欲を著しく低下させ、ゴミ屋敷化を加速させる要因となるのです。